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2021年8月2日読書記録

【書評】ネガティブ・ケイパビリティ

これうまく説明できるかな。
ふわふわしてて、僕自身まだ理解が曖昧。

僕の中で新しい発見だったのと、医療職、特に精神科領域では必要そうな概念だったので書評として残してみる。

そもそもネガティブ・ケイパビリティとは何か?

芸術の分野から精神分析の分野に発展してきた概念。
本の表紙には「答えの出ない事態に耐える力」とある。

もう少し詳しく。
「どうにも答えの出ない、どうにも対処しようのない事態に耐える能力」あるいは、「性急に証明や理由を求めずに、不確実さや不思議さ、懐疑の中にいることができる能力」を意味する。

とある。

この対義語が「ポジティブ・ケイパビリティ」。
すぐに答えを出そうとする能力(問題解決能力)。

ヒトは目の前に、わけの分からないもの、不可思議なもの、嫌なものが放置されていると、脳は落ち着かず、及び腰になる。
そうした困惑状態を回避しようとして、脳は当面している事象に、とりあえず、意味づけをし、何とか「分かろう」とする。

世の中でノウハウもの、ハウツーものが歓迎されるのは、そのため。

「分かる」ための窮極の形がマニュアル化。
マニュアルがあればその場に展開する事象は「分かった」ものとして片付けられ、対処法も定まる。ヒトの脳が悩まなくてもすむように、マニュアルは考案されていると言える。

ポジティブ・ケイパビリティには落とし穴もある。
「分かった」つもりの理解が、ごく低い次元にとどまってしまい、より高い次元まで発展しない。まして理解が誤っていれば、悲劇はさらに深刻になるという。

ポジティブ・ケイパビリティは表層の「問題」のみをとらえて、深層にある本当の問題は浮上せず、取り逃してしまう。

そもそもヒトの脳には希望に向けてのバイアスがかかっている。
ちょうど溺れる人が藁をも掴むように、わけが分からないものに意味を見出そうとし、それは希望的な方向に傾きがち。

この傾向があるからこそ、物事は何とかしているうちに何とかなり、早々と白か黒かの結論を出す必要がない。薄暮のようなグレーゾーンを持ちこたえているうちに、東の空が明るくなるのに気がつく。

どうにもできない状況を、ネガティブ・ケイパビリティの力で持ちこたえていくうちに、状況が好転していく。

ざっくりと説明するとこんな感じかな。

ちゃんと理解できていないのもあるけど、なんかモヤモヤしていてしっくりきていない。

僕の性格がなんにでも白黒はっきりつけたがるゴリゴリのポジティブ・ケイパビリティ寄りなのと、これまでの人生での実体験とがリンクし辛いからかな。

はっきりしないモヤモヤ状態を、「ネガティブ・ケイパビリティとは何か?」とブログに書いて明確に言語化しようとしている今の僕の行為もポジティブ・ケイパビリティっぽい。笑

僕はこの本を読んでモラトリアムを連想した。
高校生がやりたいことが見つからずに大学へ行き、やりたいこと探しを延長する行為。

高校で自分のやりたいことが見つかってもいないのに、就職先を決めるということが、答えを急ぐあまり自分の本質に辿り着く時間を奪ってしまっている、ということに繋がっている。

逃げるために避けるために大学へ行くのは違うけど、
自分の本質に辿り着くためのモラトリアムはネガティブ・ケイパビリティといえるんじゃないかな。

ネガティブ・ケイパビリティとポジティブ・ケイパビリティ。
どっちか片方が大切、とかそういうのではない。

ポジティブ・ケイパビリティの問題解決ばかりじゃなく、生きていく上でネガティブ・ケイパビリティの考え方も大事だよね、ってことなんかな。

僕は共感力が弱くて、解決型の人間。

会社でも全てにすぐ答えを出そうとするし、求めてしまう。
本質に迫る前の表層の問題に対し、解決策を出していたこともあるかもしれない。

僕みたいなタイプにこそ、この概念って必要だなと思った。

この概念を知っての感想は、
まー物事すべてなんとかなるし、そんな急いで何でもすぐに解決しようとせずに、少し肩の力抜いてもいいのかな、って思ったこと。

まだ十分にかみ砕けてないけど、このはっきりとしない宙ぶらりんな状態で居続けることこそが、ネガティブ・ケイパビリティなのかな。

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